るっくばっくきょなん展 ── 移動・変容するすがた

7組のアーティストたちが描く見返り美人図のすがた

開催日時

<前期/千葉>
2025年12月13日(土) 12:00〜17:00
2025年12月14日(日) 〜20(土) 10:00〜17:00
2025年12月21(日) 10:00〜15:00
★12/11(木)にLa Mano Friaの公開制作あり 詳細

<後期/東京>
2026年1月3日(土)〜1月7日(水) 12:00〜21:00
★会期中にイベントあり 詳細

参加費

無料
★東京会場は有料イベントあり(TBA)

会場

<前期/千葉>
道の駅保田小学校「まちのギャラリー」(千葉・鋸南町)

<後期/東京>
HoiPoi(東京・高円寺)



古典作品をモチーフに描かれるあたらしいすがた。浮世絵の祖・菱川師宣の代表作にして美人図の古典「見返り美人図」を、国内外で活躍する画家、漫画家、グラフィックデザイナーといった現代の絵師たちが見返り、描き直す試み。あるいは〝作る〟という遊び。このグループ展は、菱川師宣が誕生した保田(現・鋸南町)、そして師宣が浮世絵発展の礎を築いた江戸(現・東京都)の二箇所で年末年始を跨いで順次開催されます。

参加作家

アツコ・ベンテン・バルー|Atsuko Benten Barouh

サノアツコ|Atsuko Sano

とろろ園|tororoen

根本敬|Takashi Nemoto

HAMADARAKA|ハマダラカ

松田光市|Koichi Matsuda

La Mano Fria|ラ・マノ・フリア




「るっくばっくきょなん展 ─ 移動・変容するすがた」について

今回の企画展の題材となった「見返り美人図」は江戸時代初期に活躍した菱川師宣(ひしかわ・もろのぶ)が晩年に描いた肉筆浮世絵です。

木版技術の発達にともない江戸の庶民の間で流行した読本(庶民の読み物)の挿画制作に始まり、やがて一枚絵としての独立した作品を描くに至った絵師であったことから〝浮世絵の祖〟と呼ばれている師宣ですが、その出身地が南房総エリアの小さな町、鋸南町の保田地区(かつての安房国平郡保田本郷)であるということはあまり知られていません。保田地区には今年2025年に開館40周年を迎えた町営美術館「菱川師宣記念館」があり、また町内の其処彼処で見返り美人図が印刷された看板やそのすがたを模したモニュメントやイラストを見つけることができます。

活動の拠点を江戸へと移してから絵師としての才能を開花させた師宣でしたが、父親の菱川吉左衛門(ひしかわ・きちざえもん)もまた京都から江戸を経て保田へとたどり着いた移住者でした。江戸幕府の開府とともに政治と経済の中心が京から江戸へと移ったばかりの頃に、前時代から連綿と続く文化を江戸で継続/発展させるために、そして火災が多かったという江戸の復興のために全国各地から集められた大勢の職人たちの中に、京の縫箔師であった吉左衛門の姿もありました。

吉左衛門と師宣は時代の節目に、二代に渡って東京と南房総の間を往来した父子でした。そして今、見返り美人図は所蔵庫である東京国立博物館を離れて石川県で展示されています。能登復興支援のために企画され、国の文化財などが集められた展覧会の作品の一つとして。

暗く先の見えない長いトンネルのようだった疫禍を抜けたあとで人の移動が以前より複雑化/活発化しつつある今、人が古来より移動を繰り返しながら歴史を紡ぎ、長い時間をかけて創作を続け、その表現と技術を更新させてきたということについて改めて想う。

今回の「るっくばっくきょなん」展では、国内外で活躍する漫画家、イラストレーター、画家、グラフィックデザイナーといった現代の絵師たちが、それぞれの流儀で見返り美人図のすがたを変容させることに挑みます。本展は年末年始をまたぎ、鋸南町の保田とかつての江戸=東京で順次開催されることとなります。

わたしたちは今、<何を><何処から>見返ることができるのでしょうか。

文責:倉持政晴(区区往来)



アツコ・ベンテン・バルー「レバノンの見返り美人」(新聞紙、グワッシュ、墨|60cm × 35cm|2025年)






アツコ・ベンテン・バルー

1950年代、戦後経済の波に乗った東京のミドルクラスの家庭に生まれる.パリ第5大学で文化人類学を学んだのち骨董商や服飾デザインなど、いくつかの職業につく。1988年からパートナーであるピエール・バルーと共に、ブリジット・フォンテーヌやジャック・イジュランほか多くのアーティストを送り出してきたレーベル兼出版社サラヴァ( Saravah)の運営に携わる。2002年には東京に滞在型のギャラリーラミュゼdeケヤキ「L’amusée de Keyaki」をオープンし、2011年にはライブハウス、サラヴァ東京「Saravah Tokyo」を、2013年には対話型ギャラリーアツコバルー(Atsuko Barouh)を東京渋谷に開設。これまでに内外アーティストによる200回を超える展覧会を企画・開催してきた。2015年よりイギリスに在住、自身の芸術表現に本格的に取り組む。
当初の作品は伝統的な書の表現、特に抽象表現主義におけるアクション・ペインティングを意識したものだった。書の言葉は次第に意味のある文章に近づき、言葉と絵の関係を楽しむようになる。現在では、日本人女性、戦後日本、第三世界、海外に住むアジア人の受ける差別など、より社会的で同時代的なテーマをユーモアを交え、新聞紙や雑誌のコラージュで表現する。我々を取り巻く日々の情報、そして社会に浸食されながら同時に養われる不思議さ、意味とナンセンスを表現する。

サノアツコ (佐野翠嵐)

千葉県の書道会にて5歳から始め幼小中高と古典書道を修練。
美術短大のグラフィックデザイン科を出たのち 印刷会社、デザイン会社を経てフリーランスへ。
現在「サノデザイン」として、広告デザインをメインに活動中。 デザイナー・アートディレクション歴35年。
柳田泰雲系の書道会で古典書道を学びつつ、 甲骨文字や隷書以前の文字の絵文字などに場を広げる。
2010年頃から古代文字と言われる絵文字を元に
グラフィックデザイン的な観点からの表現をはじめ、
各地で「古代文字アート書道」の教室やイベントを開催中。
@sanoageo


とろろ園 (友沢ミミヨ/友沢こたお)

友沢ミミヨと友沢こたおによるDNAアートユニット。
むっちりとしたミミヨ原案を、娘こたおがねっちりと油彩で描き上げる。
これは!! 膝から捩れるような妙妙な愛らしさ!!
2019年 結成後、青山ビリケンギャラリーで初個展「とろろ園」
2020年 Pearl Bookshop & Gallery「モコゾウxアート」展 参加
京都 Trancepop gallery 個展「とろろ園 II」
WAVE 2021展 @3331chiyoda
参加 2024年 ケンエレファントからフィギュア「My Little Bunny」限定発売 2025年 東京都庭園美術館「Fermier」店内にて個展「TORORO LAND」
@tororoen
@mimiyo_tororo
@tkotao

根本敬

(撮影:Zohre Miha)

1958年東京生まれ。81年月刊漫画『ガロ』9月号で漫画家デビュー。以後「平凡パンチ」に「生きる」などを連載。漫画の代表作は「怪人無礼講ララバイ」収録の「タケオの世界」とされる。「因果鉄道の旅」「人生解毒波止場」「ディープコリア(同盟との共著)」など文字の本は漫画本より読者が多い。2009年「真理先生」で第11回みうらじゅん賞受賞。幻の名盤解放同盟(昭和歌謡の澱を掬うコンピ「解放歌集」を編纂)の一員であり、東京キララ社の特殊顧問であり、マルセイユを拠点とするアート運動体ル・デルニエ・クリの一員でもある。
@takashinemoto81

HAMADARAKA (EruArizono/EmuArizono)

有園絵瑠と有園絵夢による双子のアーティストデュオ。「あり得ない生き物や時間が混合する事によって生み出される楽園」「この世とユートピアの間に存在する世界」をテーマに、様々なマテリアルを使い表現する。国内での個展の他、EU、USA、中国、ブラジルでのアートプロジェクトに参加。 DIESEL ART GALLERYにて個展「EDENDORDORADO」、モロッコ/ラバトJIDAR STREET ART FESTIVALでの壁画制作など、国内外で精力的に作品を発表している。”Hedwig and the Angry Inch” John Cameron Mitchell来日公演コスチューム、 文化庁のプロジェクト「MICUSRAT」にて、SUMMER SONIC幕張メッセ会場入り口階段のアートワークの他、国内外のアルバムジャケット、アパレル等へアートワークを提供している。
@eruhamadaraka
@emuhamadaraka

松田光市

漫画家。
1994年生12月24日岩手県盛岡市出身 上京後、 美学校に入学。
2020年 第22回アックス漫画新人賞佳作 2024年 漫画「運命」上梓。
漫画以外にもイラストやデザインも手掛け、これまでにEVISEN、TOKYO CULTUART by BEAMS  EDWIN EUROPEとのコラボ等がある。
個性的な線描、色使いで「ガロ系」を引き継いでいる作家。
@kouichi_matsuda_

La Mano Fria

1996年秋、Rice and Beans clothing(ライス・アンド・ビーンズ・クロッシング)は、ボビート・ガリシア(Fondle ‘Em Records、ナイキ、アディダス)が運営していたニューヨークの伝説的なショップ「Footwork」にて最初の作品をリリース。2003年から2011年までの間に、Beams Records/Beams T clothingより数々の音楽作品やTシャツをリリースする。
ラ・マノ・フリアは1999年にBeta Bodega(データ・ボデガ)、Botanica del Jibaro(ボタニカ・デル・ヒバロ)、Rice and Beans、Arepaz(アレパ)などを始めとする自身のレコード・レーベルを立ち上げた。そして、自身がプロデュースしたアーティストたちのためだけではなく、数え切れないほどのCDや12インチレコードのジャケット/ロゴ/Tシャツをデザインした(Prefuse 73、Common、Raekwon from Wu Tang Clan、Pharoah Monche、Myka 9、The Last Poets、Dead Prez、Wee Bee Foolish、DJ 3000など)。ラ・マノ・フリアはこれまでにスタジオボイス誌の表紙を飾り、Tokion、Fader、Remix、Blast、Massage、Woofin’といった雑誌で特集されている。
2004年にはスペイン・バルセロナで開催されたフェスティバル「Sonar」に、2008年にはコロンビア・メデジンで開催されたフェスティバル「Medelink」に出演。2005年にポルトガルのAuditorio Serralvesで、2004年にオランダで、2005年から2013年の間にUPLINK GALLERYでアート・エキシビジョンを開催。2008年に彼はガムテープを用いたグラフィックのライブ・パフォーマンスを始め、プエルトリコ、サンフランシスコ、オランダ、日本をツアーした。
また「Miami & Tokyo Beer Tour(マイアミ&東京ビールツアー)」の発案者として、アサヒ/キリン/HITACHINO NEST BEER(日本)、Minerva/Magna(メキシコ)、Sweetwater/New Belgium Beers/Hatuey(アメリカ)のアーティストとして活動する。product/81とSouth Florida Ford社の文化コンサルタントIsta MagazineとInfiltrate Zineを共同制作。ラ・マノ・フリアは彼のGPKグラフィティ・クルーとともに「Purvis Young Graffiti Wall of Fame」の創設者であり、キュレーターであり、「Sud Swap」の名で知られるMiami Beer TourイベントをマイアミのWynwood Art Districtで企画している。
フロリダのフォートローダーデールの美術館NSU ART MUSEUMでのJETSとの仕事の後、ラ・マノ・フリアは彼の原点であるアンダーグラウンド・レコード・レーベルの仕事の仕事に戻り、インターネットとカセットテープのレーベル、「Sud Swap Audio Brewing」と「Botanica1」を始めた。そして、1998年にスタートした、マイアミで「Infiltrate」(インフィルトレート)として知られるアンチWMC(Winter Music Conference)のイベントをオーガナイズしている。
@sudswapaudio



□主催・企画:区区往来
□フライヤーデザイン:佐々木景(111 THR丰ONE)
□協力:道の駅保田小学校、HoiPoi

★鋸南町地域おこし協力隊関連企画