安藤巴と楠瀬亮「安房にて」(ゲスト:角銅真実、宮坂遼太郎)

安房郡鋸南町拠点の安藤巴と楠瀬亮がゲスト音楽家たちとともに二日間に渡って繰り広げる音楽の冒険!

開催日時

2/10(月・祝日前)「セッション夜会!」

(open 17:00 start 18:00 close 20:30)

2/11(火・祝)「安房にて」

(open 14:00 start 15:00 close 18:00)

参加費

【前売】¥3,000
【当日】¥3,500
【千葉県民割】¥2,500
【20歳以下】¥1,000
【2日通し券/一般】¥5,000
【2日通し券/千葉県民割】¥4,000
☆チケットはPeatixにて販売中

場所

千葉・鴨川市「鴨川SupernaturalDeluxe


南房総エリアを拠点としながら各地を飛び回り演奏活動を続ける二人の新鋭音楽家、安藤巴と楠瀬亮。そして彼らが敬愛する音楽家たち──角銅真実と宮坂遼太郎──をゲストに迎えて、二日間に渡る音楽の冒険が鴨川スーパーナチュラルデラックスで繰り広げられます。

初日は全員によるセッション。現代音楽〜ジャズ〜実験音楽〜ポップス等々、既存のジャンルを軽やかに越境しながらそれぞれにユニークな活動を展開している音楽家たちによってその場で形作られていく音楽をお楽しみください。

二日目は、安藤と楠瀬が暮らす安房郡鋸南町に足跡を残した西條八十の詩より着想を得て二人が書いたスコアを、ゲスト音楽家たちとともに演奏。現代の安房で生まれた楽曲の初演をどうかお見逃しなく。

    

安藤巴と楠瀬亮



大学の同級生。千葉県鋸南町に家を借りている。毎日料理、たまに演奏(あら汁、カレー担当:楠瀬。パスタ、焼き鳥担当:安藤)。これまでに小伝馬町ツバメスタジオ、神宮前bonobo、京都堀川会議室、金沢21世紀美術館、千葉市美術館などで演奏。伊東篤宏、山内弘太、沢田穣治、はながっつ、Momose Yasunagaらと共演。南房総地域でも道の駅保田小学校、鴨川SupernaturalDeluxeをはじめ、雑貨店や飲食店などで演奏している。

安藤巴|Tomo Ando

1997年生まれ、千葉県柏市出身。音楽家、打楽器奏者。幼い頃から多様な音楽に親しみ、東京藝術大学では打楽器専攻にてクラシック音楽を学ぶ。現在はオーケストラ、現代音楽、打楽器独奏、即興音楽のフィールドを自由に横断し演奏、創作している。2024年には東京・京都にて「安藤巴パーカッションソロ」を開催。NHK FM「リサイタル・パッシオ」など出演多数。
www.instagram.com/tomo_ando0614/

楠瀬亮|Ryo Kusunose

高知県香南市で生まれ育つ。幼い頃は虫取りと工作に精を出し、大学ではクラシック音楽や即興演奏に取り組み、近年は関東圏での様々な形態での演奏や音楽的創作に勤しんでいる。現在は体験の蓄積を観察し改めて捉え直すことに生活の主軸を置いている。東京藝術大学音楽学部器楽科卒業。
www.instagram.com/ryokusunose/

     

角銅真実|Manami Kakudo


音楽家、打楽器奏者。様々な打楽器、自身の声、言葉、さまざまな身の回りのものを用いて、楽曲制作やパフォーマンスなど自由な表現活動を展開している。2024年1月、4年ぶりのソロアルバム「Contact」リリース。

www.instagram.com/manami_kakudo

   

    

空間演出

Shinobu Hashimoto
普段と異なる時間感覚を創る作家。


安藤巴と楠瀬亮「安房にて」のための覚え書き

大正から昭和戦時期、昭和高度成長期にかけての約50年間にわたり、詩人・作詞家・仏文学者として活躍した西條八十(さいじょうやそ)。大正期の代表作には童謡『かなりや』、戦中期には軍歌や歌謡曲『蘇州夜曲』、戦後は大衆流行歌の作詞者として親しまれた。

大正8年、西條28歳の時に自費出版した処女詩集『砂金』が詩壇で高評価を得ると、西條の詩はその翌年から童話童謡雑誌『赤い鳥』上で童謡として次々と発表され、中山晋平、山田耕作、成田為三ら一流作曲家の仕事と相まって広く世に知られていった。特に成田為三作曲の『かなりや』は同誌で初めて発表された童謡として人気を博し、現在でも親しまれている。

時代のながれとともに多岐にわたる創作活動を展開した西條のキャリアにおいて、詩集『砂金』に結実した青年期は、仏文学やアイルランド文学の影響を受けながら純粋詩をこころざした時期だった。

さらに青年期の西條と房州には実は深いつながりを見出すことができる。西條は14歳で父を失い、その2年後の夏、初めて房州の保田町(現・安房郡鋸南町保田)を訪れ海水浴の日を送った。当時の西條は父を失った不安と孤独が入り混じっていたことだろう。西條は以降大学在学中にも数度保田を訪れ海水浴や鋸山に遊んだ。

筆者は保田の沿岸地に生まれ育ち、保養地としての地域の歴史文化を調べてきたが、詩集『砂金』に収録された作品の中でも特に『海にて』『芒の唄』『海のかなりや』には、当時の保田の質感と若き西條の鋭敏な感性が宿っているように思われてならない。また、西條自身、亡くなる前に「わたしの海の作品は房州海岸が基調」になっていると記していることからも保田で過ごした体験が彼の詩世界に影響を与えたといえよう。
西條が残した海に関する他の詩作品をしらべてみると『安房にて』という楽曲に出会うことができた。

 安房にて

 海のほとり 砂のほとり
 君にいいつぐ ことのはを
 ふとも忘れて はかなくふりかえれば
 二月の青空に 昼の月 ほのかに浮けり


南房総の旧国名・安房(あわ)を冠したこの歌曲の詩にも、先の作品群に近い世界観を感じる。作曲は『かなりや』と同じ成田為三だ。成田はこの曲について「ベルリンに留学をしていた時に作った」と記しており、成田が帰国した翌年の昭和2年に、郷里秋田で開かれた作品発表会で初めて演奏された。

保田の海岸に身を置いて、120年前にここにいた西條の姿を想像する。このたび、西條と成田が音色をもって永遠化した土地の質感を現在に響かせる機会に立ち会うことができ本望だ。

文:前田宣明 (保田文庫)



イラスト:楠瀬亮
題字:安藤巴




□企画・主催:安藤巴、楠瀬亮
□制作:区区往来
□協力:前田宣明(保田文庫)、スーパーナチュラルデラックス
□宣伝美術:佐々木景(111 THR丰ONE)
□ロゴ・イラスト:根矢涼香
□宣伝:浦谷晃代
□助成:千葉県アーティスト・フォローアップ





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